ベニーは1932年生まれの白人中堅ピアニストで、ニューヨークでは実力派として名が通っている。ここではベテランのボブ・ブルックマイヤー(vtb)、目下白人ナンバー・ワンのトランペッター、トム・ハレルらが参加し、クインテットによって白人モダン・ジャズのエッセンスを聴かせてくれる。演奏のレベルは高いが耳に心地よいサウンドを持っており、エリントンの<In
A Sentimental Mood>からドビュッシーの弦楽カルテット第3楽章から<On A Theme
Of Debussy>、ベニーやトムのオリジナルと選曲も興味ぶかい。趣味のいいモダン・ジャズだ。
フィリップスは'40〜'50年代にJ.A.T.P.でブロー・テナーとして鳴らしたベテランである。'80年代にも来日して健在ぶりを示したが、太くたくましい音は爽やかで、ポップ性もあって楽しい。本作はアメリカでは10年ぶりの新吹き込みとなったもので、'75年8月の録音である。当時大きな話題を呼んだ。ここでは<Everything
Happens To Me>などで珍しくベース・クラリネットも吹いてみせる。昔のようなブローではなく淡々と吹き、大人の枯れた味を聴かせるプレイヤーに変貌してきている。