ローランド・ハナはごつい顔をしているが、彼のピアノは大変デリケートでリリカルでもある。彼はサドニメルのビッグ・バンドでも演奏したが、やはりソロやトリオで聴くべきピアニストである。彼は大変個性的なピアノを弾くので、本作のようなソロ演奏だと個性を100パーセント発揮できるのである。73年4、5月録音なので、古いスタンダードだけでなく、<Killing
Me Softly With His Song>のような新しい曲も取り上げていて興味深い。しかし黒人なのでブルースや、自作の<Morning>などはグルーヴィでコクのある演奏を聴かせてくれる。
白人モダン・ジャズ・ギタリストのデュエットである。この2人組は70年代に実際によくニューヨークのライヴ・ハウスに出演していた。したがって2人の呼吸はぴったり合っている。チャックは50年代のジョージ・シアリング・クインテットの出身。ピューマはリー・コニッツらと共演してきた。共に知的でデリケートなプレイを得意にしている。緊張感にあふれたインタープレイはスリリングである。<Fly
Me To The Moon><Body And Soul>などスタンダード・ナンバー中心に演奏している。
ベテランの白人ピアニスト、ジミー・ロウルズがトリオ編成で気分的にも大いに乗って繰り広げたあざやかな演奏である。バスター・ウィリアムズ(B)ビリー・ハート(Ds)の見事なサポートぶりと時々みせる対等のプレイが耳をそば立たせる。ジミーはハンク・ジョーンズの白人版の感もあり、耳障りの良い、明快でスウィンギーなプレイをみせるし、スタンダード曲を素材にした時の表現は的確で他の追従を許さない。<Lush
Life><Take The A Train>など7曲からなる13分にわたるメドレーは変化にも富んでいて楽しめる。
ズートはかなり多作家だが、本作は彼の70年代における代表的名演であろう。ズートはワン・ホーン編成の演奏に限るが、ここではジミー・ロウルズ(P)ミッキー・ロッカー(Ds)ボブ・クランショー(B)のトリオをバックにワン・ホーンでのびのびと豊かにリラックスした気分で演奏している。ニール・ヘフティの<Fred>、エリントンの<Caravan>、それに<
Getting Sentimental Over You>といったバラードにおける成熟した表現は若い頃のプレイにない充実ぶりだ。ピアノのロウルズも絶妙だ。
アイリーン・クラールはジャッキー&ロイ・クラールの妹で、センスのいい優雅なキメの細やかな表現力を持つ女性ジャズ・シンガーだった。聴けば聴くほど味わいの出る歌手だ。64年から10年間結婚で引退していたが、74年にここでもピアノを弾いているアラン・ブロードベンドと組んでカムバックし、チョイスに復帰第1作「Where Is Love?(恋の行方)」を録音した。本作はチョイスへの第2作で、さらに成熟した大人の歌を聴かせてくれる。バラードが中心でピアノとの共同作品と言っていいほどアランの演奏も見事である。77年8月録音で、アイリーンは78年にガンで亡くなった。